6.25.2011

Ayam Bakar & Chicken Tikka Masala アヤムバッカーとチキンティカマサラ



ナシパダンの定番料理の一つアヤムバッカー(Ayam Bakar: アヤム=チキン・バッカー=グリル)はココナッツとレモングラス等のハーブで煮込んだチキンをソースから取り出し、グリルしてからまた、煮込んだソースに戻す。グリルしたチキンの香ばしさが何ともソースと一緒になり美味い。日本料理でいえば、炭火焼の焼鳥をそのまま親子丼にした料理だ。タンドールで炭火焼にしたチキンティカをトマトクリームベースのソースと一緒にしたチキンティカマサラにも似ている。このように一度、肉を炭火で焼いた後、ソースに入れる事により、ソテーした感じとは全く風味の違う香ばしく・スモーキーなソースが生まれるのである。ちなみに事実かは不明だが、Lizzie CollinghamのCurryという本にチキンティカマサラが実はイギリスで考案された料理かもしれないと書いてある。あるイギリスのインド料理の客はチキンティカがあまりにもパサパサなので、キッチンに料理を返したところ、シェフはすぐさま、キャンベルのトマトスープ・クリーム・そしてスパイスを使ってソースを作ってチキンティカをカレー料理にしたというが、他の説も存在してどれが真実かは不明だ。しかしどうあれ、この料理は2001年に外務大臣であるロビン・クックがイギリスの国民食であると宣言している。ちなみに上のアヤムバッカーはナシパダン屋では私の大のお気に入りであるGeylang Serai Market にあるHajjah Mona Nasi Padangのものだ。

What does ayam bakar and chicken tikka masala have in common? They both include grilled chicken in their gravy which infuses a distinctively smokey fragrance to the entire dish. Ayam means chicken and bakar means grill in malay. The chicken is first braised in a coconut gravy with herbs like lemongrass and kaffir lime leaf (also known as daun limau purut) and grilled and charred for flavor then finally added back to the sauce. Slight difference with chicken tikka masala is that the latter is first marinated in yogurt and spices, then grilled and added to the tomato cream gravy. Infusing grilled item into a sauce is a great technique. In Japan we also have a Oyako donburi (Chicken and egg lightly braised with dashi and served on top of hot rice) where the chicken is grilled first and then finished with dashi and very runny scrambled egg. We also grill Japanese leek and char it very nicely and put it into warm soba dashi, which also gives an incredibly smokey aroma and goes well with sliced duck. Smokiness is truly a wonderful flavor enhancer!

6.20.2011

Ban Mian Ban Mee 板面 バンミー バンミアン

バンミー(板面)は、ラクサ・プローンミー・フィッシュボールヌードルに比べてあまりガイドブックに載っていないので一般的に観光客には知れてないが、独特なシンガポールの麺類の一つだ。マカンスートラによると中国北部が発祥だが、シンガポールでは客家(ハッカ)の方たちが主にお店をやっている。そもそも客家の人々は中国北部から南へと移住した民族。南は米文化であるため、彼らの代表的なヨンタウフー(Yong Tau Foo)は餃子が実はモチーフとなっている。この手打ち麺であるバンミー、イタリアンでいうとパッパデーレに似ているものもあれば、タリアテーレや穴の開いていないブカティーニのようなものまでお店によって異なる。出しはあっさり魚介とポークの出汁がきいている。上に乗った揚げた煮干(イカンビリス)もいい出汁のアクセントとなっている。お店によっては大豆を出汁に入れる場合もあるようだ。そう、まさにヨンタウフーの出汁のようだ。
ワンポア(Whampoa)のフードセンターにある有名なバンミーはパッパデーレのようにまさに板状。これにミートボールとは言えないような繋がった豚ミンチ、クコの葉、煮込みシイタケ、エビ、玉子(エグドロップ)、カリカリに揚がったイカンビリス(煮干)は食感の良いアクセントになっている。あっさりしているが複雑な味わい、これは最高の朝飯だ。ここのチリソースは市販の物で、辛いが砂糖が入っている。個人的にはスライスチリかチリパディ(激辛ちり)のスライスが合うと思う(そういう店もある)。
出汁は日本の出汁のようにあっさりとしている。若干麺をそのまま、茹でずに入れているので濁っているのではないかと考える。

6.11.2011

Laksa Johor ジョホール・ラクサ


ラクサ。一般的にシンガポールのカトンラクサが日本では有名だが、ココナッツクリームを使わないラクサも実は存在する。その代表的なのはペナンのアッサムラクサ・通称ペナンラクサだ。現地のサバ、イカン・ケンボン(Ikan Kembong)などをミンチにしてレモングラスやタマリンドでスープを作る。このようにラクサはココナッツ風味のものかタマリンドを使用したアッサム風味のものに大きく別れるが、その中間ともいえるのが、ジョホールのラクサだ。ほんのりココナッツを使用し、酸味のベースはタマリンドではなく、現地の興味深い食材(asam gelugor又はasam keping)を乾燥したものを使用。麺も通常の太めの米麺であるラクサビーフンを使用するところもあれば、なんとスパゲティーを使用するところもある。サバで出来たジャージャー麺を思わせる一品だが、搾ったカラマンシーライムの酸味とサンバルの味でクセになるラクサの一つだ。少し、シチリア島の名物パスタであるイワシとういきょうのパスタの味にもなんとなく似ている。酸味とココナッツを使用しているので、ペナンにあるサイアミーズラクサを思わせるが、ジョホールラクサはスープというよりは、ミートソースだ。

6.07.2011

To Tenderize or Not: Chicken Rice's Chicken

お店にもよるが、鶏を柔らかくするために重層(ベーキングソーダ)を使用するチキンライス屋が結構あると、シンガポールのフードライターから聞いた事がある。確かに、お肉を柔らかくする技法は、昔からある調理法だが、それは、固い肉をどうやって食べやすくするか、という昔の人の知恵から生まれたものだ。だが、私はそんななんでもかんでも柔らかくする事には賛成していない一人だ。それは、食べ物というのは食感が大事な時があるからだ。鶏はそもそも、固い肉ではない。しかし、鶏を柔らかくする為に生まれた料理もあるが、これには理由がちゃんとある。ヨーグルトでマリネしてグリルするタンドールチキン等は本来は、冷蔵技術が乏しい時代に日持ちするように開発された料理でもある(鶏は他の家畜に比べると腐敗しやすい)。フランスブルゴーニュのコックオーヴァンは、年老いた固い肉質のオンドリをいかに柔らかく食べやすく調理するかと生まれた料理だーワインでマリネする事により肉が柔らかくなる。今、流通している鶏でいえば、むしろ噛めば噛む程、味が出てきて、わたしはその食感が好きだ。これを更に柔らかくするという事に意味があるのだろうか?柔らかい=最高だ、というところは一般的にある事だが、意味も無く、加工というステップを加えて柔らかくするというのは、好みではない。むしろ、調理過程で最も注意しなくてはならないのは如何に柔らかくするというよりは、如何に肉汁を失わないかではないだろうか(肉汁=うまみ)。さて、シンガポールにいったら、お店にベーキングソーダがおいてあるかどうか、次回チェックしてみよう。


Some chicken rice stalls opt to use bicarbonate of soda or otherwise known as baking soda to tenderize chicken. Baking soda acts to break down proteins and therefore is sometimes used as a meat tenderizer (also used in baking as a leavener), especially in Chinese cooking. Tenderizing meat is a very classical method which has been done for centuries and it was also done sometimes to add flavor like in marinades. Yet, tenderizers are used commonly to tenderize tough cuts of meat so is it really necessary to tenderize chicken -which in my opinon are not tough cuts of meat at all? No one would tenderize a beef tenderloin right? Some critics rave about the "melt in your mouth" experience with foodstuff. I am not saying that this is a bad expression but when it comes to some cuts and type of meat, isn't is wonderful to chew a chunk of meat and as you chew, more flavor explodes in your mouth? This is all a matter of personal preference but maybe that is the reason why I don't really enjoy A5 rank wagyu beef -melt in your mouth but overly oily. I would rather enjoy an incredible US Prime grade, rib eye that has been dry-aged (natural method of tenderizing beef), where enzymes breakdown proteins and release the umami amino acids. In my opinion, if you cook the chicken at a right temperature that denatures the proteins and controlling the temperature so that the loss of juice kept to a minimum, you do not need any tenderizer to cook a good piece of chicken. The goal is not to have the most tender chicken, the goal is simply, not to lose the juices -this is where a cook needs to pay most attention, namely right cooking temperature entails minimized loss of meat juices.